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7月7日
明るい星がどこまでも続く夜空
今日だけで何度、俺は空を見上げただろうか
朝、床の中でぼーっと見つめ
昼間、首がもげるんじゃないかと思うほど仰ぎ
夕、燈色に染まるそれを見て
夜、食事も喉を通らない
夜風が俺のいる部屋に心地よく通り抜けていく。
「おかしくないだろうか」
今日のために新調してもらった着物を先ほど着付けてもらった使いに問えば
「大変お似合いですよ」
とニコリと微笑む。
その使いが吊り下げていたあるものをついっといじくるものだから恥ずかしくて目を逸らした。
白い頭にひらりと白い衣
そこで不器用に微笑む顔
「お上手ですね」
下界では雨が降らないようにてるてる坊主というものを作る風習があるのだという。
晴天が続くよう、天気が崩れないようにと祈りが込められたそれ
褒められるような出来では決してないのに背中がむず痒くなる。
さっきみたいに俺に微笑みかけてるのがわかったから。
「さて、そろそろ表へ出ましょうか」
その背中を抱かれるようにして表へ出た。
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