♯6

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  何故兄貴は手嵩の事を知っているのか気になって、手嵩の家まで行った。 「手嵩、お前は兄貴と会った事あんの?」 「あ、うん…。一回だけな。でも何でいきなり聞くんだ?」 「いや…今日さ、兄貴と久しぶりに会ったんだ。そしたら手嵩の事を知っててな」 「そっか…」 どうしたんだ? 落ち込むような声で。 「なぁ…各務先輩は元気か?」 「え? 元気だけど……兄貴と何かあったのか? 俺さ、知りたいけど」 真剣な眼差しで手嵩を見つめると、彼はため息を吐いて口を開く。 「……各務先輩の卒業式の日に、俺の所へ来たんだ」 「へぇ…」 「あの人は…悲しそうに笑ってたよ」 ――え? 悲しそうに…。 「何て言うか、俺が知っている各務先輩じゃなかった。アレは本当の各務先輩に見えたんだ」 兄貴はずっと笑っていると思ってたけど…違うのか? 俺と同じく苦しんでた? 今も、なのか? 別れる時に、俺を呼び止めてこう聞かれた事を思い出す。 『──千草。今は幸せか?』 ……違う。 あの時の顔は幸せそうな顔だった。 彼をギュウッと抱きしめると、手嵩の顔が真っ赤になる。 「大丈夫。兄貴は大丈夫だ」 俺はそう応えたから。 『もちろん彼がいるからこそ、幸せだよ』 .
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