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ある日の深夜――
「いや…、いい夢が見たくて…」
「いい夢?そんなの、楽しい気分で眠ればみれるんじゃないか?」
「それがさ、どんなに楽しい気分で寝ても全然だめで…さ。兄貴…俺はどうすればいいんだ」
ほんとに困ってる。
いい夢が見たい。
ボカロpとして、曲がヒットして有名になる夢とか。
豊乳なメイドが俺の彼女になってくれる夢とか…
まぁ、前者は努力すれば現実になるかもしれない。だか後者は、コミュショー×ヒキニート×謀人気動画サイト厨の俺に希望はないと確信した。それ以前に、俺は外に一歩も出ないじゃないか。無念だ。
…非現実を愛しています。
「悪い夢ばかり見るって、例えばどんな夢を見るんだよ」
「なぜかリコ姉に一方的に言いのめされる夢とか、通り魔に殺される夢とか、リコ姉にパソコン壊される夢とか」
「悪夢だな。特に最初と最後の夢は」
「ああ。リアリティーがありすぎて怖ぇよ」
「でもま、寝ないと人間生きてられないからなぁ~…」
「だから困ってんだよ。…夢が選べたらいいのに」
「夢を選ぶ…か。」
兄貴は何かを考え込むように眉間にしわをよせている。きっとしばらく黙り込むパターンだ。まあ、会話も一段落したところだから自己紹介をしておこう。
俺の名前は三浦魁李。一応、高校3年の男子だが、今は不登校だ。理由は今までの会話を見てれば想像つくだろうけど、夢にリアリティーがありすぎて、ビビって家から出られなくなったから。
自分で言うのもなんだが、俺はチキンだから外に出ようと思える好奇心なんてものはこれっぽっちもない。それに、一度不登校になったのにまた学校に戻る勇気もない。
とにかく、毎日の悪夢のせいで俺は不登校なのだ。そのおかげで、前まではボカヲタと謀人気動画サイト厨だけだった俺にコミュショー&ヒキニートという称号まで与えられた。
まるでシン●ローだな…
シン●ローとは、謀ボカロpの作品に登場するイケニートの少年だ。その作品の影響で、俺もボカロpになろうと思った。でも、やつは俺と違って頭がいいし、俺より数万倍かっこいい。顔の問題というよりは、なんというか、あの二次元的なかっこよさだ。俺は二次元に生まれてきたかった。
そうだ、今俺の隣にいる人についての紹介を忘れちゃいけない。
俺は5人家族で、3人兄弟の末っ子だ。兄と姉がいるが、兄とは8才、姉とは9才歳が離れている。姉は結婚していて子供もいる。兄は、
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