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慌てたように言った通話相手、サンタ野郎に涼都は舌打ちして携帯を睨んだ。
「んだよ、いちいちうるせぇな。今の俺はすこぶる体調が悪いんだよ。冗談に付き合う余裕はねーの。キャンドルで燃やすぞ」
『燃やさないでよ。体調が悪い割りには、かなり元気そうだけど。というか、今回の治療費、誰が払ったと思ってるの』
「電波が悪いようだな。何も聞こえない」
『ちょっと』
非難じみた声を上げた相手に、涼都はハッと鼻で笑った。
「労働費にしては、安いもんだろ。言っとくけど、俺は高いよ?──水木理事長」
冷笑を浮かべた涼都に通話相手、水木は上擦った声を上げる。
『えーと……何のこと、かな?』
「とぼけんじゃねぇぞ。ネタは上がってんだ。今回の騒動、お前も噛んでるんだろ」
『────』
今回の騒動、外狩りに関わる一連の学生寮爆発と呪詛騒ぎ。
どこまでかは知らないが、水木も関与していたのは間違いない。そして
「俺と東をわざと『外』に引き合わせただろ」
数秒の沈黙。
その後に、水木は落ち着いた声音で答えた。
『引き合わせたなんて。僕が可愛い教え子を『外』に会わせたなんて、どうしてそう思うの?』
あくまで、しらを切るつもりか。
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