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「お前にそういう趣味がねぇのは知ってるが……なんか、お前がいたいけで可愛い無垢な涼都に、悪戯を働くイケナイ大人に見えてしょうがねぇんだよな」
「眼科に行って、目玉から換えてもらえば?」
呆れたように肩をすくめたトウイチロウに、影虎も不機嫌そうに鼻を鳴らす。
瞬間、二人の顔面で雪玉が弾けた。
「っっ?!」
「あっち!」
衝撃でうっかり落としたタバコが手の甲に当たって、影虎が悲鳴を上げる。
二度目の攻撃に、トウイチロウは冷えた眼差しを犯人に向けた。
「どいつもこいつも、一応、俺の顔は商売道具なんだけど。わかってねぇな」
「わかってないのは、お前らだ」
明るい茶髪の髪に、柔和な微笑で、青年は雪玉片手に立っている。
「っにすんだ! 鷹丸」
危うく火傷しかけた影虎と睨むトウイチロウに、鷹丸と呼ばれた青年はにっこりと笑んで中指を立てた。
「影虎、涼都様の前でタバコを吸うなって、何度言えばわかる? トウイチロウも。涼都様に必要以上触れるな、穢れる」
「穢れるってどういう意味だ、コラァ! 俺は愛情表現してるだけだろーが!」
「お前の雪玉のせいで、箱ごとタバコが駄目になっちまったじゃねぇか。弁償しろ」
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