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そして数年が過ぎて。
今日も雪がちらほら降ってる。
「樹、雪だね……」
呟くように、私が言った。
そう。あの日も雪で。
あまりにもびっくりして、自分にはあり得ないことが降ってきたようで、そんな固まる私に樹は笑って、
「僕は、しらべが、好きだよ」
と言って、さらに私を固まらせたんだった。
聖なる夜。
私はその聖夜が見せた夢じゃないかと、その日以来何度も、貰ったくまさんを探しては持ち、を繰り返した。
実はそれは今でも続いている。
樹には……言ってない。
一度、「僕はそんなに信用ないかな?」と困った顔をされたから。
違うの。そんなんじゃない。
私が信用してないのは……。
それを言えるようになるまで、樹は私と歩いてくれるのかな……?既にわかっているその答えを口に出して、克服できるまで……。それを「待ってて」と言えるほど、私には貴方に「時間をください」とは言えない。
でも、我が儘を言わせて貰えるなら、ずっと一緒にいたい。
多分、樹はわかっていて、私の口から言うのを待っているんだろうな……。
あの頃からそうだったように。
「しらべ、はい。プレゼント」
樹が私に包みを手渡す。
中には、思った通りのくまさん。
あの日以来、クリスマスには樹がくれるプレゼントはくまさんだった。
私が寂しくないように。
私が一人にならないように。
「ありがとう……樹。」
今年もホワイトクリスマス。
貴方とあと何度、この日を迎えられるんだろう。
夢見ながら。恐怖しながら。
私はこの日を毎年迎える。
「メリークリスマス、しらべ。」
「メリークリスマス、樹。」
降り積もる雪。
神様。
どうかどうか。
いつまでも一緒にいさせてください。
ぱちぱち。
暖炉の火がはぜる。
あれから何度もぬくもりをくれた。
樹。樹。
私の一番のクリスマスプレゼントは、
樹、だよ。
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