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「どうぞ……って言ったのに……」
樹さんはそう言って私の姿を見て、少しトーンを落とした口調で静かに言う。
「まさか……この気温の中、走ってきて、ないよね」
ないよね、って言ってる時の樹さんの言葉は、
そうだよね、と訳す事と、
心配してる、って思ってる。
それが、少しずつ、わかってきた。
最初の頃は、怒ってると思って、私が異様に怯えてしまったから、樹さんはその時に、私が納得いくまで、
それは違うんだということを、説明してくれた。
それ以来、私は、樹さんの事を、好きになった。
中学生の私にも理解できるように、ゆっくりゆっくり噛み砕かれたその答えは、私の心を、ほんわかさせてくれたから……。
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