プロローグ:永遠の行方

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この瞬間は、見る者総てに終わり を告げているようであった。 堅牢であったろう石壁が崩れ、揺らぐ事などなかったであろう天井がひび割れ、美しかったであろう大理石の床は粉砕されている城の「玉座の間」で、2人の男が対峙する。 片や烏の濡れ羽色のような黒い髪と赤い目の少年。 片や新雪のような白い髪と青い目 の青年。 2人は乱れた呼吸を整えて、次が最期であろうと互いに意識を集中する。 「稀有な事だな。よもや親子二代、同じ血統の者と再び最期を競った駆け引きをする羽目になるとは」 「結末は違うと思うぞ。今度は‘俺たち’が勝つ」 「それぐらいの気概が無くては興醒めだ。精々、最期まで付き合ってくれ」 玉座の真後ろの壁嵌め込まれた大きなステンドグラスから差し込む暁の光が、荒れ果てた空間を照らし出す。 そして、2人は走り出した。
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