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澄み渡る青空の下田舎道を歩く一人の若者がいた。
旅の身なりにしては軽装で、風避けローブに小さな荷物入れ、そして腰に長剣を差しているのみ。
ゆっくり道を歩いていると宿場町が見えてきたので、若者は一息吐く。
「今日はあの町で探してみるか」
そう言ったと同時に風が若者の黒い髪を煽り、その顔が晒された。
その顔は整ってはいるが、特徴的
な青い瞳は人を寄せ付けない冷めたものであった。
髪を払い除けてから宿場町の門を潜ると、手近な店に入いる。
店の中は小綺麗に掃除されており、奥のカウンターには壮年の男が立っていた。
「いらっしゃい、宿泊かい?」
「あぁ。一人部屋で二泊頼む」
「食事がついて銀貨4枚だよ」
言われた額をカウンターに置くと、若者はそれとなく尋ねた。
「なぁ、この辺りで珍しい剣があるなんて話はないか?」
「珍しい剣かい?そうだな………」
「探しているんだ。知恵を持つ魔剣、『ハイドラ』を」
「聞いたこと無いよ。妙な話ならここから少し行った所に変わり者の婆様がいるからその人聞くといい」
男はそれだけ言うと店の奥に引っ込んでしまったので、言われた場所に行ってみる事にした。
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