17人が本棚に入れています
本棚に追加
結局、打開策が見つからないまま店を出て行くことに。ただ単に営業時間が終わっただけなのだが。
「じゃ、また来るよ」
「店長、体には気を付けろヨ?」
「ああ。わかってるよ」
俺とカルマルクを見送るカラフルなバンダナを頭に巻いているボサボサな金髪美女は『グロウム』の店長だ。本当の名前は知らない。
グロウムから出て、俺とカルマルクは住宅街の夜道を進む。
「やっべ、日付変わりかけてるじゃんか」
「今さらかヨ。デッキ考えると、すぐ時間忘れるのはクゥの悪い癖だナ」
カルマが呆れた顔で忠告をしていたが、それを受け流すがために俺は夜空を見上げる。
「あのカードを使ってのデッキじゃ、やっぱり選考会は勝てないのかな」
あのカードというのは俺が使うデッキのコンセプトであり、悩みの種でもあるカードのことだ。地区大会で勝つためなら、デッキから変えればいいのだがそこはどうしても譲れず、このように毎日悩む日々である。
「逆に聞くが、クゥはあれを抜いたデッキを使う気はあるのカ?」
「ない」
自分でもびっくりするほどの即答である。ちなみに始祖ナントカさんのことではない。
他愛もない話をしながら夜道を進むと、住宅街やグロウムがある丘の上にある公園に差し掛かる。
最初のコメントを投稿しよう!