第一章 ミルン・セティア

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幾ら軍服の着方を分かっていても、どうしてもネクタイの形が上手くいかない。 普段はネクタイは着用する必要が無い。 現に、ミルトューレの胸元に義勇兵を表す赤いネクタイは無い。 だが、今は顔合わせする時だ。 しっかりと正装する必要がある。 「難しいですよね」 しばらく見守っていたミルトューレが手を貸してくれた。 しっかりと形を整えてくれた彼女に礼を言う。 「頑張って慣れてくださいね」 ミルトューレはそう言うと、ミルンの周りを一周して服装の乱れが無いことを確認。 「荷物は此処で結構です。それでは、顔合わせといきましょうか」 「はい!」 ミルトューレがミルンを案内したのは控え室から少しだけ歩いた場所。 見た目重そうな扉を、片手でひょいと開けたミルトューレ。 イルジルタ人特有の怪力に驚くミルンの視界に入ったのは、幾人かの人影。 人数からして中隊規模かとミルンは判断。 「新しい仲間を連れてきましたよ」 ミルトューレの言葉に、一同が作業を止めて注目する。 その中には先程出会ったレルトの姿があり、あの優しそうな笑みを浮かべた。
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