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幾ら軍服の着方を分かっていても、どうしてもネクタイの形が上手くいかない。
普段はネクタイは着用する必要が無い。
現に、ミルトューレの胸元に義勇兵を表す赤いネクタイは無い。
だが、今は顔合わせする時だ。
しっかりと正装する必要がある。
「難しいですよね」
しばらく見守っていたミルトューレが手を貸してくれた。
しっかりと形を整えてくれた彼女に礼を言う。
「頑張って慣れてくださいね」
ミルトューレはそう言うと、ミルンの周りを一周して服装の乱れが無いことを確認。
「荷物は此処で結構です。それでは、顔合わせといきましょうか」
「はい!」
ミルトューレがミルンを案内したのは控え室から少しだけ歩いた場所。
見た目重そうな扉を、片手でひょいと開けたミルトューレ。
イルジルタ人特有の怪力に驚くミルンの視界に入ったのは、幾人かの人影。
人数からして中隊規模かとミルンは判断。
「新しい仲間を連れてきましたよ」
ミルトューレの言葉に、一同が作業を止めて注目する。
その中には先程出会ったレルトの姿があり、あの優しそうな笑みを浮かべた。
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