第一章 ミルン・セティア

13/21
前へ
/21ページ
次へ
「自己紹介が終わった所で訓練、って行きたいところだけど今日はもう終わりなのよね」 スフィアが手を叩き言う。 「レルト、ミルンを社宅に案内して上げて。そしたら今日は休みよ。他の人は片付けが終わったら。良いね?」 「了解」 小気味の良い返事と共に小隊は解散、レルトがミルンに付いてくる様に言った。 「荷物は控え室かな?」 「うん、そうだよ。えーと、ナイバート君」 「レルトで良いよ。ファーストネームの方が呼ばれ慣れてるから」 苦笑混じりにレルトが言う。 彼は控え室のドアを開くと、荷物を取るように指示する。 ミルンは脱いでたたんである服を鞄に入れ、素早く控え室を出た。 「ミルンは僕と同い年だよね。学校はどうするの?」 道中、レルトが尋ねた。 「既にこの近くの国立学校に転入届を出してるよ。明日から登校するの」 「それじゃあ、一緒に登校しようよ。明日の朝、迎えに行くね」 くったいない笑顔でそう誘われると、拒否する気にはなれない。 ミルンは素直に頷くと、レルトは嬉しそうな顔をする。 「一緒のクラスだと良いね」 「そうだね。にしても……随分と柔らかい口調だね。駅では固かったのに」 レルトの年相応の口調に何処かホッとするミルン。 「ミルンこそ。まぁ、あれは一応任務で外部の人間を迎えるからだよ。けど、今は同じ訓練部隊の人間。ミルンには僕の全てを知って欲しいんだ」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加