第一章 ミルン・セティア

14/21
前へ
/21ページ
次へ
全てを知って欲しい。 それが受付嬢が言っていた特別な出生に関係するのだろう。 「取り合えず簡潔に言うと、僕の母親は人外で、僕は魔力制御不全症なんだ」 「……は?」 情けない声が出てしまう。 それは内面のルミンもそうであった。 そんなミルンの表情をみたレルトは吹き出し、 「おいおい説明していくよ」 「そう……」 不完全燃焼気味だが本人が言うなら仕方無い。 ミルンは気持ちを切り替える。 歩くこと十分。 協会の社宅に着いた二人は鍵を受け取ると部屋へ直行。 中は狭いが一人暮らしには不便無いワンルームで、キッチンとシャワーとトイレ付き。 小さなテーブルとベッドなど家具もある。 孤児院育ちの彼女の荷物は鞄の中に全て収まっているため、入居準備は直ぐに終わる。 衣服がほとんど無いため初任給で買う算段で、協会からの給料までの特別手当ては食費に消えるだろう。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加