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僅かな揺れを感じてミルンが目を覚ますと、列車は大きな駅にちょうど到着したところだった。
車内の案内掲示がここは首都セテラだと教えてくれる。
眠気眼をこすりながら、ミルンは必要最低限の生活用品しか入れていない鞄を手に下車する。
首都の中央口だけあり、都会なその雰囲気にミルンは押されがちになったが、観光に来たわけでは無い。
彼女は指定された出口に向かう。
なんでも迎えを寄越してくれるらしい。
人の波に流されながら、ミルンはようやく改札口に到着。
人目に付きやすい所で迎えを待とうかと思っていると、後ろから声をかけられる。
「ミルン・セティアさんですか?」
振り返ると、ミルンと同じぐらいの年の金髪の少年がいた。
義勇軍の軍服を着ており、彼が迎えだと理解出来た。
「はい。そうです」
「直ぐに見つかってよかったです。それでは、本部に案内します」
見本のような敬礼をする彼にミルンは頭を下げることで答えた。
そしてまだ名前を聞いていないことに気付き、
「あの、お名前は?」
「あっ……申し遅れました。レルト・ナイバート訓練兵です」
訓練兵。
軍服を着ているからもしかしたらと思ったが、彼が自分と同じ年の訓練兵に違いない。
(へぇ……この子が)
ミルンは内心でそう呟く。
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