生活

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私は、いじめられた頃から保健室へ登校するようになった。 「おはようございます。」 「あら、おはよう。元気が無いわよ?」 「そうですか?」 「今日もここで居るの?」 「…はい…」 二人の間には沈黙が続いた。 その沈黙を破ったのは、保険医だった。 「今日は雨ねぇ。」 「………………」 「あ、じゃあ…また来るからね。」 保険医が出て行って私は、静けさが怖いほどの保健室に一人になった。 「(落ち着く。)」 「(何にも考えないでいいし、誰の目にも届かない。)」 すると、雨の湿気で少し重い扉が開く音がした。 「(誰?)」 そこに現れた人物、 それは後藤彩だった。 「(!!逃げなきゃ!)」 そう思ったからだろう。 私の身体は小刻みに震え出した。 「大丈夫。あんたを相手にする程暇じゃないから。」 「えっ?!」 思わず声が裏返った。 「ハハ。そんなにあたしが怖い?」 私は首を縱に振った。 「そぅ。でもあたしはあんたに何もしない。」 「何で?」 彼女のように言われたら、何故?と思うのは普通の感情なのでは?と思った。 「何で?って、あたしがあんたをいじめる意味がないから。」 ただ普通のコトかのように彼女は答えた。 「あんた、強くならないの?」 「変な質問するんだね。」 「まぁいいや。あたしには関係ないからね。じゃあおやすみ」 彼女はそう言ってベッドに潜りこみ、眠りについた。 そんなことを言われた私は、ただただ呆然としていた。 そして、私は彼女を敵だとは思わなくなっていた。
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