お互いを

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お互いを

彼女が眠ってから何時間たったのだろうか? そんな事を考えながら、数学の勉強をしていた。 「ふぁ~あ。よく寝た!」 「あ、おはよう。」 「ぉはよぅ…」 まだ眠いのだろう、まぶたが閉じかかっている。 「眠いの?」 「少しね。ところでさぁ…雨まだ降ってる?」 その時の保健室はカーテンを閉めきっていたから外の景色はまったく見えなかった。 「あぁ…今開けるね。」 カーテンを開けると灰色の重たい雲から幾つもの銀の粒が見えた。 「まだ降ってるね。」 「そっか…。」 「雨嫌いなの?」 「いや、好きだよ。あんたは?」 「私も好き。雨の音って落ち着くの。」 「へぇ~おんなじだね。」 「そぅなの?」 「…うん雨の音はあたしを自由にしてくれるから。」 彼女が言った自由が分からなかった。 だから私は、『自由って?』そう聞くと。 「………まぁいろいろ。」 って返ってきた。 「そぅなんだ。」 それ以上は何も聞かなかった。 「じゃあ帰るわ」 「うん…またね」 重い扉の音は、ほんの一瞬だけど軽いいい音がした。
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