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「…朱深ぃ…帰ったのぉ?」
私は結局彼の家で待機し、
家に帰り母親面のその一言で思い切り気分を害された。
……何時もの事だが…
バタンと音を立てドアを閉めて、シンクに溜まった食器を洗い始める。
ガチャガチャと音を立て作業をしていると、どういう積もりかあの人がテーブル近くの椅子に座る。
「…ねぇ朱深ぃ…ちょっと相談があるんだけど?」
「……………」
無視して食器を洗いまくる。
……きっとろくな相談じゃない
「あんた今日の夜に…」
「嫌よ、誰かさんのせいでバイト入ってるし」
言葉を遮る。
この人は私を売ろうとしてる。
夜に街中なんて歩けば、終わりはみえてる。
裏の世界に精通してるこの人が、私を誰かに抱かせるなんて簡単な事……
だから夜はなるべく出掛けない。
出掛けるとすれば、変装したり、男装したり…
何でこんな事まで気を遣わないといけないものか…
「……あんた…バイトなんてちっぽけな事やるより、お母さん見習った方が収入良いよ?」
……何を自慢気に…
「収入良いなら自分の借金ちゃんと自分で返して!」
食器を洗い終えて、水道を止めながら言った。
そして引き出しから溜まった封筒を出し、母親面に尽き出す。
毎度の事ながら睨まれる。
「今月の御店からの請求書!!」
……ホントもう嫌…
ソレは各色んな御店からのお金の請求書…
毎日送られてきても全然止まない……
借金もあるし…
どんだけ働けば良いのよ。
この人のせいで、毎日がバイト秤…いくつも掛け持ちしてる。
この人は飽きずに毎日買い物…
服…バッグ…ブランド品…
…言っても無駄だと判ってるけどいい加減にしてほしい。
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