もう 誰も信じない。

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ふと空を見上げる。 次々と大粒の雨が降ってきているが少ししたら止みそうだ。 肩が震えてきた。 元々寒さには強くない… ――パシャッ、パシャッ… …水溜まりを踏んでしまった。 靴に水が入る…だけどあの真間家に居るよりはマシだ。 近所の公園まで歩き、濡れたベンチに腰を掛ける。 「………寒い…」 声が震えてく、まぁ当たり前だ。 冬休みにも入るという季節に雨が降っている… ……私は寒さに弱いし…。 …………………。 雨の中佇んで居たら昔を思い出した…。 幼い頃、同い年の男の子と一緒に道に迷ったんだ。 その時も雨だった…。 “一人じゃない…大丈夫だよ…” そう言って私を励ましてくれたんだ。 ………二ヶ月後に海外に行ってしまったけど。 …名前は誰だっけ…? ……………あぁ駄目、思い出せない… 悲しくて、寂しかった… その気持ちは波っきりと憶えて居るのに―――……。
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