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―――何処…此所……
頭痛を抱えながらゆっくりと瞼を開ける。
……何処かの…部屋?
…………。
……憶えてない。
天井は白。壁紙も。黒いカーテンが掛かってて焦げた茶色の本棚がある…。
横に誰かが机に向かって座っていて……
……?
……誰…か…
……そうだ…昨日…?公園で…誰かが……
――がばっ…
やっと少し思い出して起き上がった。
「……起きた?」
机に向かって居た後ろ姿が此方を向いた。
「おい…!?」
急に起き上がったせいか再び頭痛が私を襲う。
「…っ」
「大丈夫か?まだ休んでろ」
私の事を心配そうに見る彼に疑問を抱く。
「……もう…平気…」
「顔色悪い…無理するな…」
「そんなこと……」
……ない、とは言えない。
実際、身体が重い。
身体の中が溶けてる様に熱い。
意識が朦朧とし出した。
…………
……!
彼が私の肩に手をつき、再びベッドに寝かせようとする。
…彼の手を止める。
「……」
苦しさが尋常ではない…私は彼が何かするなら止める。
異性同性関係ない。
母親があんなのだからか、私には他人を見境無く相手を警戒してしまう。
何これロックセキュリティ?
「……変な意味じゃないけど」
「わかってる」
………しまった。
思わず口に出してしまった。
例えどうでも良い様な事でも、心で思った事…云いたくない…。
……どうしたの、私。
―――何か
彼に逢ったの、初めてじゃない様な気がしたから…
………そんな理由ない。
「…何か変わったな」
……え…
ふと、彼の方を向く。
「……どういう…」
「…やっぱ忘れてた?俺は憶えてたけど」
……え…知って、る…?
「……誰…?」
「……尾崎結羽」
「……え…」
―――尾崎、結羽…?
…そう名乗った彼の顔を見る。
黒い髪、何故か妖艶な目…綺麗な顔立ち……。
……何処かで逢ってる…?
―――でも、知ってる様な…
浮かんでくるのは…
……幼い男の子…。
――――――…。
……尾崎…結羽…
………結…羽…?
「思い出せない?」
「……結…羽…?」
…結羽って、昔私が……
「…この町で一緒に迷った事あるよ、違う?」
「………公園…で…?」
「そだよ」
「…結羽…」
「朱深」
彼が私の名を呼ぶ。
……思い出した。
随分、雰囲気が変わった。
再開したんだ…
昔私が、好きだった人。
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