闇の狩人

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曇天の空が日が落ちて夕闇に包まれ、辺りが霞かかったように薄暗くなった頃。 乾燥した草木の少ない広い荒地に小さな軍の基地があった。 粗末で狭く決して快適とは言えないがそれでも基地の兵士達は貪るように休息を求めた。 閑散とした静かな地に束の間の安息が訪れていた。 「ダークウルフだっ!!」 見張りの兵士の悲鳴のような声がしてから状況が一変した。 基地内に魔物の群れが現れ、兵士達を襲い出したのだ。 闇に紛れて駆け抜け獲物を狩るダークウルフは兵士三人を優に越える大きさだ。 「くそっ、数もどんどん増えてきやがる……!」 やっとの事で狼の喉を裂いて倒しても次から次へと群れはかかって来る。 狼に飛びかかられてとっさに盾を突き出した兵士が愕然とした。 「嘘だろ、こいつ……!」 狼の牙を受け止めた盾は半分から上が無くなっていた。 応戦していた兵士は敵わず1人、また1人と倒れていき、地面は血で赤く染まっていった。 生き残りの兵士達は戦意を失い目の前の光景を絶望的な気持ちで眺めた。 真っ黒な狼らがかつての仲間を襲っている。 負傷した兵士は必死に剣を振り回すが狼の強靭な毛皮は弱り切った剣など通らない。 奴らは一思いに殺さず、なぶり殺して楽しんでいるようだった。
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