闇の狩人

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やがてうごかなくなった獲物に飽きた獣達は残った兵士をどれから襲おうかと品定めをするように舌舐めずりをした。 兵士達は震えながら死を覚悟した。 「くっそ…!狼め…!」 「もう…駄目なのか…!まだ話の序盤なのに…!」 その時だった。 目の前に光の輪が現れて中から黒髪の人物が姿を現した。 金刺繍の入った黒衣に長い絹のマントを頭まで被り、戦地の風にたなびかせている。 「えっ…!?」 彼らは驚いた。転送魔法だ。 この魔法が使える者は相当な鍛錬者だ。 「援護か…!助かっ…た…」 兵士達は期待をしてその人物を見つめた。が、それは徐々に落胆に変わった。 はためくマントから覗く横顔はまだ大人にしては柔らかな丸みをおびており、どう見てもまだ青年、16、17歳辺りだろう。 剣を掴む手首はほっそりとしていて戦場の屈強な兵士の腕とは比べものにならなかった。 「まだガキじゃねーか…こんな奴を軍に送るなんて…!」 「こんな弱そうな奴送り返せ!チェンジだ!」 「……」 青年は兵士達には目もくれず無言で剣を抜いた。
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