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「喜々ちゃんの格好で言っても、何か変。」
そう、酒を大量に飲み、肉を食らっているが、紅若の本来の姿はそこにはない。
可憐な少女、卯花喜々の姿である。
憑依して飲み食いしているのだ。
「細けえことは気にすんな。ほら、来いよ、りり。」
カウンターの向こうでは、王理が少し困った顔をしている。
閉店間際に入ってきたから、今は店内に客はいない。
しかし、一見すると、未成年に飲酒させているのだ。
飲食店としては、少々望ましくない。
さらに。
「うっし!気分良くなってきた!酒持って、花見酒と行こうぜ、りり!!」
酒瓶を手に、喜々の姿をした紅若が立ち上がった。
さすがにこれはまずいと、王理が小声で術を唱える。
「・・・・・・あぁ?てめえ、何しやがる。」
喜々の顔で、紅若が凄む。
王理は、店のドアに術をかけて、結界を作ったのだ。
彼は祓い屋としてはとんでもなくへっぽこだが、結界作りだけは非常に得意だ。
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