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「でね、でね、お店にお花飾りたいんだけど、花風ちゃん、手に入らないかなあ。」
花風が花好きと知って聞いているりりだが、店に飾る花ならばちゃんと花屋で購入すべきなのだが。
しかも、簡単にお願いするあたり、どうもりりは胸以外残念な子だ。
「飾るの?チューリップは、すぐに花が開ききっちゃうし、菜の花も綺麗だけど地味かなあ。」
「じゃあね、じゃあね、桜の枝飾ったらだめかなあ。」
りりに悪気はない。
だが、テーブルに桜の枝がどんと差してあるのはどうだろうか。
「枝を切っちゃうのはわたし、賛成しないよぉ?でもでも、こんなのはどうかな。」
そう言うと、花風がさあああっと風を起こした。
柔らかな風が周囲に散ったかと思うと、満開の桜の花びらを大量に運んでくる。
「無理矢理とったんじゃないよ。散って舞っているのを運んできたから、地面で汚れてないし。これ、小さなガラスの水盆に浮かべたらどうかなあ。」
「すごーい!さすが花風ちゃん!大好き!」
嬉しくなったりりが、花風に抱きついた。
その途端。
ぐしゃ。
・・・・・・ぐしゃ?
「・・・りりちゃん?」
自分と、豊満なりりの胸の間の荷物の袋の中で、不穏な音がしたので、花風がりりにおずおずと尋ねた。
「何・・・入ってるのかなぁ?」
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