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「えーとね・・・」
りりは、店主の王理に頼まれて買ってきたものを思い出そうとした。
「生クリームと、オリーブオイルと、パプリカと、トマトと・・・卵?」
「卵?えっと・・・卵?」
「うん。卵。」
気のせいか、袋がじんわりと塗れてきたような気がする。
「えっとね!えっとね、りりちゃん!桜の花びら送り届けてあげるから、急いでお店に行こ!」
「はーい。そしたらねえ、主様にお願いして、花風ちゃんにスミレの砂糖漬けを使ったカップケーキあげるね。主様が焼いてたから。」
のんきなりりである。
さすがに、袋の中身が想像できた花風は、りりをせかして店であるバル・デ・シレンシオに送ってくれた。
袋を受け取った王理が、中を覗いて大きくため息。
「ありがとうね、花風ちゃん。よかったら、これ。君の相方も好きだといいんだけど。」
焼きたてのスミレのカップケーキを箱に入れ、ラッピングして渡したのは、自分の式神が世話になったお礼と、綺麗な花びらをもらったお礼。
「桜のお酒とスイーツを作ってみるよ。できたら、味見してくれる?りりに届けさせるから。」
「いいよー。雷ちゃんの分も作ってねー。」
「ありがと、花風ちゃん。またねー。」
脳天気に手を振って花風を見送ったりりが、王理から説教されたのは言うまでもない。
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