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「ごめんね、お雪ちゃん。うちのりりが迷惑かけて。」
「違いまする。りりは妾が倒れているのを案じて、助けてくれたのでございます。」
「そうなの、百くん。」
王理は、一部始終を黙って見ていた百に尋ねた。
「確かに。」
(確かに、りりから助けてもらいました。ですが、やはりあなたの作ったものを罠に使うのはどうかと思っていたところです。というか・・・)
百が、首を傾げて携帯を見せた。
「ん?ああ、侘くんにメールしたんだね?・・・お雪ちゃんの転んだところを写して送ったの?」
「えええっ!ひどいです、百!」
「いや。」
(送ったというか、勝手に写真が撮れて勝手に送信されたんです。これはいったいどうやって使ったらメールを正しく打てるんだろう。教えてほしい。)
「・・・えーと。メール、使いたいのかな?」
「はい。」
(その通りです。通じてよかった。ぜひ教えてください。)
王理と百が携帯の使い方をあーだこーだしている横で、恥ずかしい姿を送信されてまたもあわあわとしているお雪と拳骨をもらいながらも
「わかった。1個だけにする。」
と言って、タルトを細かくして撒いているりりの姿があった。
・・・・・・
その後、りりがもう一度怒られ、百とお雪と王理とりりが去った後にそっと出てきた狸がタルトの残骸を食べたのは、4人の知るところではない。
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