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「いったーい!でも、いいの。私もぼーっとしてたから。えへ。」
金髪碧眼、昴よりずっと年上の女性が無邪気に笑う。
「ほらほら、りり。だめだろう、人様に迷惑をかけたら。」
女性の後ろからやってきたのは、矢島王理。
「すまなかったね。この子、ちょっと不注意なものだから。」
自分の荷物を置き、昴の手から集めた荷物を受け取る。
「いえ、私も不注意でした。」
「昴は悪くない。式鬼のくせに人にぶつかるあれの方が悪い。」
「え。」
式神と言われ、昴はまじまじと女性を見た。
折れたヒールをぷらぷらさせて、王理に窘められぷぅっと頬を膨らませている、一見肉体をもった人間のように見える女性が式神。
そう言われて改めて見ると、確かに人間ではなかった。
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