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最後に落とされた大きな残骸が、俺の赤に沈んでいく。
でも、その中でもそれは、変わりようのない青だった。
視界が歪む。
もう、指は動かない。
とてつもない寒さが俺を支配していった。
兄ちゃん、今まで兄として、弟の俺を守るために生きてきてくれてありがとう
だから……最後まで俺を守るために死んでよ
……いや、少し違うな
大丈夫だよ、兄ちゃん
ここで死ぬのは、兄に何もかも劣る可哀想な弟
生き残るのは優秀で人望も厚い兄
それが、この世界の現実になる
だから…安心して死んでゆけ、愛しい弟よ
最期に聞こえた言葉と共に、青は粉々に砕け散った。
もう、声は聞こえない。
俺の声も、もう届かない。
もう……何も出来ない。
俺は結局…弟を守れなかったのか。
俺の目から流れ出す、悲しみの青。
視界に映る赤と青はゆっくりと混ざり合い……深い深い黒に染まった。
……まだだ
俺は……弟を救ってみせる
END
and
TOBECONTINUE
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