†序章†

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「キー君、キー君、ビッグニュース!今日、アー君が帰ってくるよ!」 「何!?それは本当か理子!」 東京武偵高。 制服をゴスロリ風に改造した美少女、理子の言葉にキンジが食いつくと周りにいた生徒も集まってきた。 「どうしたんだよキンジ、何かあったのか?」 「遠山くんがそんなに騒ぐなんて珍しいね」 武藤と不知火、悪友二人も近寄って来る。 「今日、刀夜が帰ってくるんだとよ!」 「何ぃ!?あの最強腐れイケメン野郎が!?」 ザワザワ... 武藤が騒ぎ立てたことにより教室内に情報が伝播していく。 「今日"あの"蒼崎くんが帰ってくるって」 「他のクラスの子にも教えてあげなきゃ!」 「蒼崎って……まさか……!!」 アリアは一人、誰にともなく呟いた。 その頃。 武偵高の前に黒塗りのGT-Rが停まり、中から黒髪黒瞳の端整な顔立ちをした少年が降りてきた。 「──…半年ぶり、ですか?」 「お久しぶりです」 少年を丁寧な言葉遣いと確かなお辞儀と迎えたのは誰であろう、粗野なことで有名な強襲課(アサルト)の教師、蘭豹であった。 その様子に少年は苦笑する。 「もっと普通にして頂いて大丈夫ですよ、蘭豹さん」 「いえ、蒼崎一族の血統であり日本国家公安委員会特務部隊"零課"の総指揮官ともあろうお方に粗相を働くわけにはいきませんので…」 少年の名前は蒼崎 刀夜(あおさき/とうや)。 蒼崎一族は、室町中期から世の泰平の為に時の権力者達の懐刀となり歴史の裏で日本を守り続けてきた者達だ。 彼等に見放された政権は滅び、彼等に長く仕えられた政権は泰平の世を築くことから有識者には『麒麟』と評されることもあるほどだ。 その蒼崎一族の血統であり尚且つ、国防の最精鋭『公安零課』の総指揮官。それがこの少年だ。 ……しかし、武偵高の生徒達はそんなこと理解していない。 東京武偵高の生徒達の出来を視察する為に、正体を隠して普通の武偵に偽装しているにも関わらず彼が根強い人気を誇ることには理由がある。 戦闘力が桁外れに高いこと。 誰よりも自分を犠牲にし、仲間を思って行動すること。 気さくな性格で打ち解けやすいこと。 容姿が整っていること。 高飛車でないこと。 これらの理由から、刀夜は東京武偵高の団結の要となっている。 「それじゃ、クラスの行きましょう」 「どうぞ、こちらです」 刀夜は蘭豹に連れられて校舎に入って行った。
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