113人が本棚に入れています
本棚に追加
2-A教室──…。
コンコン。
「はーい、どーぞー」
半年ぶりに聞く担任の高天原ゆとり先生の声。
「失礼します」
それを懐かしみながら、刀夜は教室の扉を開けた。
『きゃああああああ///』
『うぉぉぉぉおおお!!』
響き渡る歓声。
「久しぶりだな、フランスはどうだった!」
「街の景観も芸術品も、とても綺麗だった。今度話を聞かせてやろう」
「おう!!」
笑顔でバシバシ肩を叩いてくる武藤に、苦笑しながら答える刀夜。
「もう卒業できる単位は揃えてたんでしょ?アー君は何しにフランス行ってたのー?」
「おっと…、久しぶりだな理子。フランスにはパティシエの修行に行ってたんだ、今度ご馳走するよ」
「ほんと!?やったぁ♪」
背中に飛び付いてきた理子を支えつつ微笑んで答える刀夜。
「蒼崎くん、留学お疲れさま。久しぶりだね」
「久しぶりだな不知火、相変わらずイケメンだな」
「ハハハ、蒼崎くんほどじゃないよ」
不知火が微笑を浮かべて話しかけると、刀夜も笑みを浮かべて答える。
その様子を周りで見ていた女子が数人、二人のイケメンフェイスに毒されて黄色い悲鳴を上げた。
そんな輪の中へ分け入っていくダウナーな雰囲気の男が一人。
「元気そうだな、刀夜……!」
「キンジ!」
二人はガッチリと固く握手を交わす。
「「相変わらずだな、お前は。積もる話も有るだろうが、それはまた後でにしよう」」
言い終わってから互いに目を丸くし、声を上げて笑った。
その周りにも沢山の生徒が群がり、刀夜の帰国を喜んでいる。
……しかし、そんな和気藹々とした空気に水を差す者がいた。
「──…アンタが蒼崎 刀夜ね?話が有るわ。ちょっと来なさい」
「おいアリア!お前──…」
キンジが何か言おうとするが、刀夜はそれを手で制した。
「いいよ、話とやらに付き合おう。ただし、先生の許可が降りたらな。
……どうでしょう高天原先生、少し席を外しても宜しいですか?」
刀夜が尋ねると高天原先生はニッコリ笑って頷いた。
「蒼崎くんは帰ってくるの半年ぶりだものね、今日くらいは自由時間にしちゃいましょう♪」
「ありがとうございます。
……それじゃあ神崎さん、内密な話だろう?屋上に行こうか」
「わかったわ」
最初のコメントを投稿しよう!