†序章†

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2-A教室──…。 コンコン。 「はーい、どーぞー」 半年ぶりに聞く担任の高天原ゆとり先生の声。 「失礼します」 それを懐かしみながら、刀夜は教室の扉を開けた。 『きゃああああああ///』 『うぉぉぉぉおおお!!』 響き渡る歓声。 「久しぶりだな、フランスはどうだった!」 「街の景観も芸術品も、とても綺麗だった。今度話を聞かせてやろう」 「おう!!」 笑顔でバシバシ肩を叩いてくる武藤に、苦笑しながら答える刀夜。 「もう卒業できる単位は揃えてたんでしょ?アー君は何しにフランス行ってたのー?」 「おっと…、久しぶりだな理子。フランスにはパティシエの修行に行ってたんだ、今度ご馳走するよ」 「ほんと!?やったぁ♪」 背中に飛び付いてきた理子を支えつつ微笑んで答える刀夜。 「蒼崎くん、留学お疲れさま。久しぶりだね」 「久しぶりだな不知火、相変わらずイケメンだな」 「ハハハ、蒼崎くんほどじゃないよ」 不知火が微笑を浮かべて話しかけると、刀夜も笑みを浮かべて答える。 その様子を周りで見ていた女子が数人、二人のイケメンフェイスに毒されて黄色い悲鳴を上げた。 そんな輪の中へ分け入っていくダウナーな雰囲気の男が一人。 「元気そうだな、刀夜……!」 「キンジ!」 二人はガッチリと固く握手を交わす。 「「相変わらずだな、お前は。積もる話も有るだろうが、それはまた後でにしよう」」 言い終わってから互いに目を丸くし、声を上げて笑った。 その周りにも沢山の生徒が群がり、刀夜の帰国を喜んでいる。 ……しかし、そんな和気藹々とした空気に水を差す者がいた。 「──…アンタが蒼崎 刀夜ね?話が有るわ。ちょっと来なさい」 「おいアリア!お前──…」 キンジが何か言おうとするが、刀夜はそれを手で制した。 「いいよ、話とやらに付き合おう。ただし、先生の許可が降りたらな。 ……どうでしょう高天原先生、少し席を外しても宜しいですか?」 刀夜が尋ねると高天原先生はニッコリ笑って頷いた。 「蒼崎くんは帰ってくるの半年ぶりだものね、今日くらいは自由時間にしちゃいましょう♪」 「ありがとうございます。 ……それじゃあ神崎さん、内密な話だろう?屋上に行こうか」 「わかったわ」
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