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刀夜が教室の戸を引き、アリアを外に促す。
「どうぞ」
「あら……バカキンジと違ってレディの扱い方が解ってるのね」
「お褒めにあずかり光栄だディム」
アリアは目を丸くした。
「流石ね、噂通り……いや、噂以上かしら。気に入ったわ。行きましょう」
アリアと刀夜は教室を出ていく。
「ま、待てよ……!!」
「理子も理子も~♪」
その後に続いてキンジと理子も教室を出ていく。
「青春って良いわねー」
笑顔で呟く高天原ゆとり。しかしながら、彼女は23歳である。
屋上──…。
「蒼崎 刀夜。アンタに私のサポートを依頼するわ。報酬は言い値で払う」
「おいアリア!どういうことだよ、刀夜を巻き込むつもりか!?」
屋上のフェンスに凭れかかって飛んできた小鳥と戯れている刀夜にアリアがそう持ち掛けると、キンジはアリアに食って掛かった。
「くふっ、もしかしてキー君知らないのー?」
それを見て、後から来た理子が馬鹿にしたような笑みを浮かべて言った。
「アー君はねー……『終焉零帝(ロード・オブ・ジ・エンド)』と呼ばれる日本国公安零課の総司令だ。裏に関わってきた年月も、裏に関する知識も、戦闘力も、お前とは格が違うんだよキンジ」
「う、裏理子……!!
いや、それより。いま理子が言ったことは本当なのか?刀夜」
手の平で遊ばせていた小鳥を逃がすと、刀夜は漸く3人に振り向いた。
「──…<他言無用>」
刀夜が言葉を発した瞬間、アリアとキンジに得体の知れない圧力がのし掛かる。
強迫観念のようなものがアリアとキンジの頭の中を駆け巡る。
『いま聞いたことを、他言してはならない』
「……流石だね刀夜。これが『喝砕』の真骨頂か」
掛けられたのはアリアとキンジだけなのに、理子も冷や汗を流している。
「(もしかしてこのまま殺されるんじゃないか……!?)」
キンジがこんなことさえ考え始めた頃、唐突にその威圧感のようなものを霧消させると、刀夜は話し出した。
「今回俺が日本に戻ってきた理由は2つ……いや、元を辿れば1つか」
「どういうことだ……?」
キンジが問うと刀夜は、理子とアリアに向かって言った。
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