12.30

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嫌い大っ嫌い! そんな言葉が少女の頭の中を支配する。 少女は顔を真っ赤にしながら苛立ちを隠そうともせず大股で歩いていた。 すでに少女のいたサーカスを出ている事に少女は気付いていなかった 否、気付きながらも気付いていないふりをしていた。 「馬鹿みたい馬鹿みたい馬鹿みたい!」 そう叫ぶ少女の瞳には微かに涙が浮かんでいるのが見える。 「あんな不誠実な人にセ…セフ…(ゴニョゴニョ) …がいようと私には関係ないし!…それに私はアイツを殺すんだ、こんな体にしたアイツを」 まるで自分に言い聞かせるように彼女は呟いた。 「キヒヒ、やァそこのお嬢サン」 「!?」 何処からか声がして、声の方に振り返ると同時に強い風が吹いてきた。 「誰…?」 「ただの商人や …あんさんと同じ異端児の、ね」 フードを被った女は言った 髪から覗く瞳は少女と同じだった 「もしかして、貴女も…」 「ま、それは御想像にお任せしますわ …で、あんさんはなんでそないな顔してるん」 「そ、れは…」 話しても良いのか、少女は迷っていた。 確かに少女と同じ瞳をしているが女の風貌は怪しく、信頼出来るかどうか不安だった、けど… 「実は…」 気付いたら少女は話していた、先程の事や少女の境遇など、全てを。 「へぇ…そないな事がなぁ だったらこれやるわ」 そう言って彼女は鞄から淡いパステルカラーの液体が入った小瓶を取り出した。 「これは…?」 「異国から仕入れた協力な毒や …まぁ信憑性は薄いんやけどなぁ。 とにかくこれなら一発やろ、やるわ」 「あ、ありがとうございます!」 女の差し出す小瓶を腐敗させないように少女は受け取り、しまった。 「ほれ、そろそろ帰った方がええで …きっと心配してはるよ」 「わかり、ました…」 「ほな、さいなら」 女が立ち去ろうとすると、少女は。 「あの、また会えますか!」 その問いに女は、振り返りニヤッと笑うだけで歩いていった。 →言い訳+おまけimage=464647330.jpg
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