雪だるま

4/10
前へ
/10ページ
次へ
 自分に言い聞かせて、決心を固めていたら、チームみんなの笑顔が頭に浮かんだ。  しまった。  みんなに行くと言ってある。  しかも、絶対に行くと。  絶対に決心した、ともみんなの前で宣言してしまっている。  アリカは頭を抱えた。  その中で、アリカは瞳孔を開く。  いや、あれは場所の流れというものがあった。  私がそう言わないと、いけないような流れになっていた。  そうだ。  あれはみんなから言わされたんだ。  私の意思じゃない。  断ろう。  そう思った矢先、次は頭の中で、チーム内の仲間が一人一人、笑顔で自分を見つめている姿が出てきた。  一人目から、  銃を扱うのに飛びぬけているマスパ。  勇気があり、体力がいつもありあまっている力持ちのヨウヒ。  ナイフの扱いだけではなく、応急手当の処置能力にも優れている二ミ。  お調子乗りなところもあるが、技術力は高くいつも頼りになるワンダ……  そこで、脳内のワンダが、ニヤニヤと笑いながら、アリカに囁いた。 『リーダー、知ってます? クリスマスという日に、その時にあるパーティーのイベントで、プレゼント交換というものがあるのですが、そのときに、好きな人にプレゼントを渡すと、自分のことを好きになってもらえるらしいですよ』 「そうだ、こいつが一昨日の晩、夕食時にそんなことを言わなければ、私はいつも通りに、「行かない」と言っていたはずだ!!」  それに、クリスマスパーティーとやらに誘われたのも、昨日の朝だ。  アリカは仕組まれていたんじゃないかと首をひねる。  そう、一昨日、アリカはチームのみんなに誘われ、夕食を食べに行ったのだ。  その終盤で、ぐでんぐでんに酔っぱらっていたアリカの耳元に移動し、ワンダはそう囁き続けたのだ。  アリカにクリスマスパーティーに来てもらうために。  そんなことは露ほども知らないアリカの脳内で、ニヤニヤと笑うワンダが再びしゃべった。 『プレゼントを渡すときには、その人に感謝を綴った手紙を、セットにして渡すと、さらに効果が上がるらしいですよ』  アリカは思い出した。  そして叫ぶ。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

71人が本棚に入れています
本棚に追加