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「そうだ、こんなに時間を費やしたのはお前のせいだぁぁぁぁああああっ!!!」
ワンダは、昨日の朝、チームみんなでアリカをパーティーに誘い、アリカがパーティーに参加することになったとき、こっそりとその言葉を追加で耳打ちしたのだ。
アリカの頭の中は、ワンダへの怒りでいっぱいになった。
アリカは頭の中でワンダを殴る想像をした。
脳内のワンダが泣き顔になった。
それでもイライラが治まらず、アリカは無意識にそばの小タンスを殴った。
手に激痛が走り、アリカは悶える。
よし、このイライラは、ワンダに会ったときに直接晴らすとしましょう。
目に涙を溜めつつ、アリカはそう決心した。
それに……とアリカは考える。
そもそもこんな私に、好きな人なんて……
アリカはある人の顔が、頭に浮かんだ。
するとアリカの顔が、まるで火が出たかのように、ボッと赤く染まった。
脳内に浮かんだのは、今までに何度も、自分これで死んでしまうんじゃないか、と思った時に助けられた、人々に勇者様と呼ばれている人の顔だった。
名前はセリッヒという。
セリッヒは少年のような顔つきで、アリカよりも少し若い。
セリッヒはいつもだらしなさそうにしていて、だが根は誰よりもしっかりしていた。
最初はいつも前に立ちはだかり、ちょくちょくアリカがすることの邪魔をしてきて、うっとおしい奴だと思っていた。
けれども徐々に、セリッヒの行いはいつも正しいことがわかってきた。
今では上司の人よりセリッヒの方を信用するほどだ。
しかしそれでも、まさか――――
アリカは必死で否定しようと、フルフルと首を振る。
だが否定しようと、すればするほど、心の中はその人でいっぱいになった。
自分の頬がさらに紅潮していくのを感じる。
顔が熱い。
頬がとくに、燃えるように熱い。
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