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容器に残っていた液体を飲み干し、説明を始める。
「『大清掃』っていうのは『アンカー』の奴等が今日行う大規模なイベントのことさ」
「イベント?」
イベントという言葉に引っ掛かる印象を受けたのか、灯が聞き返してきた。
「少なくとも、『アンカー』の奴等はそう言ってたな」
俺達は『アンカー』の情報を集めてはいるが、基本的にそのメンバーには接触しない。理由は簡単、危険だから。
幾つもの『グループ』が点在するこの街では、お互いに対立している『グループ』もあり、最も勢力の強い『アンカー』はその分敵も多い。
下手にメンバーに接触して聞こうとすれば、他の『グループ』のメンバーと間違われかねず誤解されるとかなり厄介だ。
よって情報はほとんど盗み聞きによるものしかない。
だから「奴等はそう言っていた」としか言うことができない。
そこまで、灯に説明すると、
「でも、盗み聞きするだけでも外にでるのって凄く危険だよね」
そう返された。
確かにそうだろう。
その場に俺達が行っていればだが。
「それは問題ない。そこにいるだろ?全身真っ黒の変なのが」
そう言うと、星が不機嫌そうに返す。
「変なのとはなんだい」
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