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「星くんがどうかしたの?」
「コイツ……実は天才なんだ」
「……へ?」
灯から間の抜けた返事が返って来る。
「いや、工学と医学限定なんだけどさ。普通の次元を軽く凌駕してるんだよ」
「……?それが盗み聞きして危険じゃないこととなんの関係があるの?」
ちょうど昼飯を食べ終わった星は俺の言おうとしてる事が分かったのか、一回溜め息を吐くと口を開く。
「宇宙は大袈裟なんだ。機械とか医療とかに叔父さんが詳しくてね。それを聞かされていたからちょっと知識があるだけさ」
そう前置きして星は続ける。
「盗聴機を作るくらいなら誰でもできるでしょ?」
「誰にでもできるわけないだろ……」
少なくとも、15歳で盗聴機を作る少年を俺はコイツ以外に知らない。
だが、驚くのはまだ早い。
コイツが作ったのはただの盗聴機ではない。
「たしか、蜂型+カメラ付き+ワイヤレスでパソコンまで映像・音を送信可能+ 移動可能+遠隔操作可能+無音で空を飛ぶ、だよな」
コイツが作ったのは盗聴機ではない。
偵察機だ。
「そうだね。名前は9号」
涼しい顔で返して来た。
「お前、自分がどれだけ凄いか解ってないよな」
俺はそんな風に呆れながら、灯の方をちらりと見る。
「…………」
完全に言葉を失っていた。
元々大きめだった目が見開かれている。
「……おーい」
トントンと肩を叩く。
するとハッとした感じで、
「あっ…………!ごめんなさい。余りにビックリしすぎちゃって…」
「……気持ちは解る」
初めて聞いたとき俺も同じような状態になった覚えがある。
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