黒蜂

5/18
116人が本棚に入れています
本棚に追加
/386ページ
「まぁ、その9号があるからここにいながら情報収集できるわけなんだ」 「そうなんだ……凄いね…………」 「…………」 ここで向き合った俺と灯が沈黙。 そして、星が口を開く。 「……宇宙、気付いてる?」 「……ああ」 星の言おうとしていることは判る。 俺だって途中から気づいてはいたのだ。 話の内容が思いっ切り違うものになっていることに。 確か、俺は『大清掃』について説明していたハズだ。 それなのに何故、星の天才さについて語っていたんだろうか。 脇道に逸れすぎた。 すると、黙ったまま動かない俺に痺れを切らしたのか、星が聞いてきた。 「……僕が引き継いでいいかな?」 「……おう」 星は気を取り直して、灯に向き直る。 「それじゃあ、そろそろ『大清掃』についてを詳しく説明しようか」 「あ、うん…。そういえば全然違う話になってたね」 無意識に言ったことなのだろうが、俺の心にはその言葉がグサっと音を立てて刺さった。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!