黒蜂

6/18
116人が本棚に入れています
本棚に追加
/386ページ
ヘコんでうつむいていると星が説明を始めた。 「『大清掃』は、アンカーの総勢約200人のほとんどが参加する大がかりなイベントだけど、やることは結構単純なんだ。街の掃除をするんだよ」 ここで、灯が疑問を投げかける。 「街の掃除?確かに人がいなくなってから、道とか凄く汚くなったけど……。それっていいことなんじゃない?どうして危険なの?」 「言い方が悪かったね。街の掃除と言っても、アンカーにとっての街の掃除。つまり」 ここで一息つき、星は続ける。 「アンカーに所属しない者、 または反抗する者の統括地区内からの排除、だよ」 「……!それって……」 灯が息を呑む。 星が続けた。 「所詮盗み聞きだから分からないけど、殺されるかもしれないことは否定しきれないね」 灯が焦り始める。 「た、大変じゃない!早くこの辺りに住んでいる人に知らせないと!」 だが、 「大丈夫だ。もう俺達以外に『アンカー』の縄張りにいる奴なんていねぇ」 「……え?」 落ち込みから若干回復気味の俺が言った言葉に、灯はキョトンとこちらを向く。 「情報を入手した時点でアンカーの統括地区に住んでいる人達全員に知らせたからね。徹夜で」
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!