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ヘコんでうつむいていると星が説明を始めた。
「『大清掃』は、アンカーの総勢約200人のほとんどが参加する大がかりなイベントだけど、やることは結構単純なんだ。街の掃除をするんだよ」
ここで、灯が疑問を投げかける。
「街の掃除?確かに人がいなくなってから、道とか凄く汚くなったけど……。それっていいことなんじゃない?どうして危険なの?」
「言い方が悪かったね。街の掃除と言っても、アンカーにとっての街の掃除。つまり」
ここで一息つき、星は続ける。
「アンカーに所属しない者、
または反抗する者の統括地区内からの排除、だよ」
「……!それって……」
灯が息を呑む。
星が続けた。
「所詮盗み聞きだから分からないけど、殺されるかもしれないことは否定しきれないね」
灯が焦り始める。
「た、大変じゃない!早くこの辺りに住んでいる人に知らせないと!」
だが、
「大丈夫だ。もう俺達以外に『アンカー』の縄張りにいる奴なんていねぇ」
「……え?」
落ち込みから若干回復気味の俺が言った言葉に、灯はキョトンとこちらを向く。
「情報を入手した時点でアンカーの統括地区に住んでいる人達全員に知らせたからね。徹夜で」
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