黒蜂

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「色々寄り道しちゃたけど、『大清掃』の概要はこの辺りかな。それで……悪いんだけれど」 星の言葉に、灯が首を傾げる。 「……?」 「『大清掃』が終わるまで僕らと一緒に行動してくれないかな?」 「え?」 星は壁掛けの時計を見ながら口を開く。 ちなみに短針は3の数字に辿り着こうとしているところだ。 「僕らが『大清掃』の情報を教えた人達はアンカーの統括地区から離れて、もっと平和的な『グループ』に匿われているんだけど……」 「うん……」 「君を統括地区から離れた知り合いの『グループ』まで連れて行って事情を説明して帰って来るには明らかに時間が足りないんだ」 なるほど、そういうことか。 『大清掃』の始まる時間は今日の夜ということしかわかっていないが、かなり早めに見積もって6時頃から始まってもおかしくない。 そしてここから知り合いの『グループ』のある2つ隣の地区に行くには往復で4時間程掛かる。 時間がかかりすぎだろうと思われるかもしれないが、アンカーの巡回をかいくぐって行くとそれくらいはかかる。 確かに俺達と一緒にいるのが一番良い。 だが、灯は少し俯き、 「ううん」 そう言って首をふった。 俺と星がすぐさま説得を試みようとする。 しかし、先に灯が口を開いた。 そして少し申し訳無さそうな顔で、 「むしろ、お願い。助けてもらっておいて図々しいかもしれないけど……ここに居させて」 そう言った。
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