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同時刻
「全神経接続確認、縫合開始」
「縫合開始、縫合糸用意」
「縫合糸用意」
「む……出血確認、止血開始」
「……!! 先生!! 出血止まりません!!」
「違う……これは!! 全員伏せろ!!」
ドスドスドスッ……
ドサッ……
「ラス……タリ……」
ドスッ……
その後に広がった一分程の沈黙が、これから話そうとする青年の声をよりいっそう際立たせる。
「よく聞け!! 俺はこれより五日後、コルコセスタの大臣二十七名を殺す!! 恐らくこの音声は記録されているだろう……この宣言が俺の独り言で終わらないことを祈っている」
ブツッ…………
円卓は暫しの沈黙
やがて資料を持った短い金髪の若い男性が立ち上がった。
「……音声記録は以上……手術室にいた六名は全員心臓と頭を鋭利な棘のような物で刺された後が確認されています」
その横に座っていた白髪の老人が資料を持った男性に質問する。
「……で、その後のラスタリオの行方は分かっているのか?」
「いえ……地下七階資料室内に入ったのを監視カメラが確認しましたが、ラスタリオはそれを破壊、それ以降の行方は不明です」
「ふむ……彼はR4全身強化系スキルと聞いていたが……」
「恐らく我々に秘匿していた内容があるのでは無いのでしょうか? 資料によるとR5の変化系や【バイブレート】、【ヒート】などを含めた六系統のスキルが副産物としてR4クラスの身体強化を保有することがあると書いてあります」
「まあいい……ラスタリオのスキルの研究は後だ、この内容をコルコセスタに伝えろ」
「メディアには……」
「馬鹿者!! SEPFF(セフ)の弱点を国外に教える気か!! なんとしても隠し通せ!!」
「……了解しました」
「ラスタリオ……鬼の子は鬼……か……」
老人の呟きは喧騒に紛れて消えた。
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