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 ̄
あの電話から数日……
司(ツカサ)は無事我が家に越してきたわけだ
「兄貴ー
おかえりー」
「あ、た…ただいま……」
あれから数日経つけど
未だに家に帰ったら誰かいるってことに慣れない
本当に自分の家なのか不安になるよね、うん。
「今日は帰り早いんですね」
「うん。
やっと原稿あがったから」
普段ならこんなに深夜にならないんだけど……
来週掲載予定の
原稿の締め切りが近かったのに加えて
僕のミス……
あーう
編集長には怒られたし
担当の作家さんに迷惑かけちゃったし
他にも色々問題あってさ……
で
このところずっと帰りは日付が変わる頃だった
それでも司は僕の帰りを待っててくれた
うむ。
なんとありがたい
「夕飯出来るまであと少しかかるから先に風呂入ってきて下さい」
「う、うん。入ってくる……」
「んー
後で着替え持って行きますねー」
夕飯に風呂に……
何コレ新婚??
なぜか司は家事全般をすべて難なくこなす。
料理なんて全く出来ない僕とは大違いだ
……―
僕は湯船に浸かりながら
しばらくみない間にだいぶ僕の知らない子になっちゃったんだなー
なんてちょっぴり寂しい気持ちになった
ま
6年以上会ってないんだし
無理もないけどね(笑)
「兄貴ー
着替えここ置いときますよー」
湯船からみえる脱衣所の影に答える
「あー
ありがとー」
ほんと新婚みたい
そういえば
越してきてからというもの
僕が忙しかったこともあって
まともに会話してない……
僕は
自分の弟のこと
何も知らないんだなって改めて思った
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