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窓から見る街と地上から見る街は違って見えた。
例えるならパノラマだ。
どんなに精巧に作られていたとしても実物と比べるのでは話が変わってくる……。
(´<_` ) 「多すぎだろ、人」
思わず顔がひきつる。
弟者は駅ビル内でひしめく人の多さに嫌気が差していた。
そもそも忘れていたのが、今日が休日、ましてや日曜日だということ。
また、雨の降る野外よりも屋内に人が集まるのは至極当然のことだった。
(´<_` ) 「…腹、減ったな」
そういえば、朝から何も食べていない。
このままパンでも買って適当に済ませられれば良いのだが、目の前の人混みをかき分けてまで買う気力など無かった。
仕方無く駅を後にする。
確か、少し歩けばバス停があったはずだ。
朝食はそのあたりにあるコンビニでも使えばいい。
水を跳ねさせながら歩を進める。
連日続く雨もあり、屋内から出てしまえば人はほとんどいない。
狭い路地へ曲がった。
このまま大通りを進んでも問題は無いが、
こちらから行く方が若干早く着くことを知っていた。
(´<_` ) (そういや、バスに乗るのは久しぶりだな)
学校へは電車、休日は部活か家で読書という生活を送っていた弟者は“街を歩く”というところからまず数ヶ月振りだった。
しかし、窓越しに見る街の方が綺麗に感じてしまうのが正直なところで。
例えば道に転がる空き缶だ。
風に舞うビニール袋や吐き捨てられたガムも、
マンションの窓越しでは見えない。
汚いデータだと思った。
灰色の街VIPに散りばめられる、様々な色など似合わない。
そこまで考えて、はっと吐き捨てるように笑った。
(´<_` ) 「何考えてんだか」
こんな天気の日ほど思考が積み重なるような気がした。
考え事をしてる間にバス停は目の前。
後はこの横断歩道を渡れば着く。
視界の端にちらりと人影が移った。
(゚、゚トソン
隣に立っていたのは、小柄な少女だった。
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