曖昧な記憶とその拳

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すっかりクリスマスの装飾が無くなった、通りを抜け、 「おはようございます。」 部屋に響くあたしの声。普段ならこの声に帰ってくるのは、加奈子の小さな挨拶と皆の会釈のみ。 でも、今日は 「あっ。西島先輩。おはようございます。」 林クンの落ち着いた声が帰ってきた。 それに合わせて小さいな声だが、「おはようございます。」と、ちらほら返事が返って来る。 なんだか嬉しくなって、つい笑顔が漏れた。 「嬉しそうねえ。」加奈子が下からツンツンと指でつっついてくる。 「あんたねえ。忙しい朝に何あのメール。」 と、あたしも自分のデスクに着く。 「こっちから見ると、何だかお似合いだったわよ。」 「そんなことないから。」 加奈子が林クンを目で追っているのが分かった。 「加奈子には彼氏ちゃんが居るでしょ?」 なんて冗談に 「馬鹿!奏の為だよ。」 真面目に答える加奈子。顔を見なくても、声で真面目って事が良く分かる。 そんなに彼氏の事愛してるんだな。 羨ましい。
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