曖昧な記憶とその拳

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「はっ恥ずかしい。」 声にもならないかすり声が口から出る。 周りからの 「おお!?」 「熱いねえ。」 「カッコいい!」 などの声が耳に入ってきて。 もうおかしくなりそう。 「じゃあ、行きますか。」 そのまま林クンはなんともない顔で、ゆでダコのあたしを誘導していった。 「ああ~もう~!受け止めなくて良いから。」 と、さっきから文句タラタラのあたしに隣でクスっと笑う林クン。 これでもやっと落ち着いた方だったのに、 「もしかして、男に抱きしめられたの初めて?」 なんて言葉にまた、カアっと顔っが熱くなってしまう。 それを覚ますかのように、顔の前でパタパタと手を上下に振った。
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