曖昧な記憶とその拳

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カツカツカツ。。。 あの娘の部屋に近ずくに連れて、気持ちは不安になってくる。 また拒否されたら今度はどうしよう? どんな感じに接すれば良いんだろう。 少し止まって考えたい気持ちは山々だけど、止まれば小一時間動かなくなるだろう。 とにかく前へ前へ進んだ。 カッ。やがて、足音は止まり部屋の目の前だって事が思い知らされる。 開けようとする彼の手を無意識に止めたあたし。 でも「あっ。ごめん。」 とその手を直ぐに離した。 林クンは一瞬すっとんきょんな顔をしたが、あたしの耳に顔を近づけると、 「大丈夫だよ。奏。」 と囁いた。
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