≪第1章 修羅場≫

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  ―――数分後――― 部屋の隅では、事の結末をジッと見据える巨乳ちゃん。 さっき、近くのバーで出会ったんだ。 俺が探しているのは『毒牙』を持つ獣。 そいつの居場所を知っている……って所から話が盛り上がって、ホテルに連れて来た。 今あった出来事に、動揺している気配はない。 ――『肝の据わった女』という印象があった。 髪留めを取った茶色の髪は、少しだけ乱れている。 落ち着いた表情で事の結末を見据える二つの目。 いくつかの修羅場をくぐっている人間だけが持つものだろう。 左耳にした特徴的なピアスには、シンプルであるのだろうが高貴な装飾が施されていた。 無造作に体に当てた毛布からは、ハリのあるふくよかな胸が覗いている。 ――まったく。 愛って奴は、罪なものだな。 俺は恋多き男。 こんなことは、よくある話だ。 ――騙されていると思うかい? いやいや、それも一つの愛の形だろ? いかなる愛をも受け入れる。 それこそ、俺が目指す『愛の化身』のイメージ。  
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