≪第1章 修羅場≫

1/4
前へ
/111ページ
次へ

≪第1章 修羅場≫

  ―――≫ドールア国 ニーディアにあるホテルの一室 なんでこうなるかなぁ……。 ――ポリポリと頭をかく。 巨乳ちゃんの胸の谷間に揺られながら、愛の言葉を語り合う予定だったんだけどなぁ。 俺は、さっきまでラブシーン真っ最中だった為 全裸だ。 狭い部屋の中、俺の周りに群がる街のごろつき共。 ――全部で5人か。 一気にむさ苦しくなった部屋の中。 ガタイの良い体型と、グラサン、スキンヘッド。 ――体臭のきつさに加えて、安物、小物、そんな匂いも漂う。 「さっさと金を置いて、どっかに消えな」 常套句もここまで来ると笑える。 「やだね。 多人数プレイは趣味じゃぁない。 お帰りはあちらですよ」 俺は扉口を指さしながら、なるべく優しく言った。 ―――ドガッ――― 俺の鳩尾辺りに入った、一人の蹴り。 部屋の壁まで吹き飛ばされた……ふりをした。 壁にぶつかった音が部屋に響く。 俺は、テーブルの上にあった鉛筆とメモ帳をとって言い放った。 「俺の手に持った『勇者の剣』と『王者の盾』が火を噴くぜ」 ――どっと笑い声がこだまする。 最後に大声で笑えてよかったな。  
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

106人が本棚に入れています
本棚に追加