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「…でだ。
お前はアホ毛であってんだよな」
絶賛闘争中のちっさいおっさんの脇をすり抜け、チータと共に干からびてるアホ毛と思われるばぁちゃんに声を掛けてみる。
「…ふが…ふがふが…」
「うん、何言ってるかさっぱりだ。
つか、どうやったら元に戻るんだよ?」
「…ふ~が…ふがふが…」
うん、やっぱりわからん。
しかし、今にも昇天しそうなばぁちゃん…アホ毛か、それをほったらかして置くのも忍びない。
アホ毛がアホ毛のままなら気にもしないが、お年寄りは敬い優しく接しなさいと育てられた俺だ。
このまま捨て置くなんて選択肢は有る筈もない。
「ふが…ふがふがふが」
「むん?なんだ?」
「ふがふが、ふが!」
アホ毛ばぁちゃんが最後の力を振り絞り、何を伝えたかったのかは分からないが、しおしおの指で示したのは洞窟の外。
つまりは、ドワーフの坑道から外へ出して欲しいらしい。
「チータ、とりあえず出るか?」
「うん、ドワーフの元長も外に放置されたままだし、そっちも回収しなきゃならないしね」
たもさんか…
確かに、簀巻きのままで放置されてる筈のたもさんも、伝説の武具の使い手らしいから、この旅に同行して貰わなければならない。
まぁ非常に不安ではあるが…
その後、絶賛闘争中のちっさいおっさんを放置し、アホ毛ばぁちゃんを背負ってドワーフの坑道を後にする。
「わし、これからどうしたらえぇんかのぅ…
ひもじいのぅ…
わびしいのぅ…
ないても…いいかなぁ?」
「勝手にしろ」
簀巻きにされたたもさんは、坑道から出てすぐの所に捨てられていた…
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