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落胆。
唇をきつく引き結んだリントの表情を一言で表現するのなら、それ以上に相応しい言葉はないだろう。
「くそ……やっぱり間に合わなかったか」
「仕方がありませんよ。また明日、出直しましょう」
苦く吐き捨てて肩をすくめる彼に、ベルは小首を傾げながら苦笑して、
「リントさん、逆にいい機会だと考えましょうよ。旅の疲れもあります。今日は休んで備えるのも一手だと思いますよ?」
「……」
言うものの、リントは不満そうだ。顔をしかめたままベルと視線を合わせようとしない。
そんな二人のやり取りを、不思議そうに初老の男性は眺めて、
「なんだい、あんたら〝祭〟じゃあなくて〝正典〟の方が目当てだったのか? 物好きだなあ」
問いの言葉に、ベルは素直に頷いて、
「ええ。実はわたしたち、各地の〝正典〟を調べて回っているんです」
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