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続けてもう一口、二口とサンドイッチにかじりついていく彼だったが、その動作はどこか固い。
馬車の操作に馴れていないのか、手綱を操る手つきは危なっかしく、また、そのせいで食事にも集中出来ていないようだ。口に含んだパンの塊をなかなか飲み込めないでいる。
「もう、行儀が悪いですよ」
そんな彼の様子に苦笑を浮かべたのは、客室の座席に腰掛けていた若い女性だった。
歳は御者の男と同じく、十代の後半から二十歳の手前といったところだろう。
腰まで届いた長い頭髪は黒く、馬車の震動に合わせて揺れるそれは、上質な絹細工を思わせるほどに艶やかだ。
また、女性にしては長身と言えるだろう。細い体をゆったりとした灰色のロングセーターで包み込み、その下から伸びる長い両足は、黒のタイツで覆われている。
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