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木造りの外壁に囲まれたそこは、小さな町だった。
壁の内には石造りの民家が建ち並んでおり、外側には一面の畑と牧場、そして収穫物を保管するためのものだろうか、背の高い倉庫がいくつも建てられている。
沈みかけの夕日による演出のせいでもあるのだろうが、どこか落ち着いた雰囲気に満ちている風景だ。
そんな町の中、馬車馬を外の牧場へ預けたリントたちは、通行人で溢れた通りを歩いていた。
通りにはたくさんの露店が並んでおり、店員の活気のいい呼び込みの声が響き渡っている。
そこへ足を止める者、手を繋いで帰宅していく親子、一仕事終えて路地の隅で酒盛りをしている労働者たちなどなど。
忙しなく様々なものが次々と二人の視界へ飛び込んでくるが、なにより彼らの意識が向いてしまうのは、
「いい匂いですねぇ……」
胸の前に分厚い本を抱いたベルが、うっとりとした声色で呟く。
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