一章

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「振られたな、カイン」 「…うるさいぞ」 「カイン」と呼ばれた真ん中の男は不服そうにもう一人の男を見た。 「 あの子じゃないですか?」 「え?」 ため息混じりで先程から黙っていた女がおもむろに口を開いた。 「例の少女、本物ならこの先のネメアの谷に盗賊がいるはずです」 「そうか…なるほどな」 そしてカインはニヤリと妖しく笑うと、二人に向き直り 「空木(ウツギ)、キリノハ!ネメアの谷に行くぞ!!」 と、言ったのだった。 カインの腰にさしている刀を2・3センチ抜き、その刀身は太陽の光に反射し、キラキラと輝いていた。 まるでこれからの未来を表すかのように。 ーーーーああ、また面倒ごとに巻き込まれた そう、ため息をついている二人を知らずに、カインはネメアの谷に足を運び始めた。
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